神学問答

問題の定義

 ムハンマドの父親は学者。モデルになった人の父親はイスラム法学者だった(イスラム教徒の従うべき規範、イスラム法の観点で日常の問題について判断を下す法曹)。

 ムハンマドの先生は(イスラム)法学の先生であり、ムハンマドが持つ疑問について彼の年齢ではまだ体験知が足りないとして教える事を拒んでいたが、ムハンマドはもっと学問を深めたいと願っていた。その結果、ムハンマドは生まれ故郷のトゥースを離れ、シタラとは二度と顔を合わせることはなかったという。

シタラ「先生って法学の先生」
ムハンマド「そう、カマルッディーン先生、父が生前紹介してくれた先生だよ」
原作1巻電子書籍版35ページ

 ムハンマド遊学8年目の手紙。ムハンマドは気にかけていたシタラに勉強のモチベーションを与えるため手紙を読む係に任命していた。そんなムハンマドからの手紙は結構率直な内容だった。

「教えられたことをただ模倣する類の神学とは違い科学は、学者たちの実地の経験に基づいた知性です。私には、こちらの方が好ましく思えます。」
原作1巻電子書籍版49ページ

 ここからが本題。さて「神学」とは何を意味するのでしょうか?

ムハンマドかくかたりき?

 ここでいう「神学」はおそらくイスラム教全体、つまりイスラム神学とイスラム法学の両方を指すと考えた方が自然に思える。

 イスラム教ではいわゆる神学以外にイスラムの教え、イスラム法に沿った生き方、日常問題の判断を下すためにイスラム法学が存在している。イスラム教にはキリスト教のような神父に相当する神官は存在しないが、法曹としてのイスラム法学者がいて日常的に相談を受けている(余談だがイランだとその最高権威がイスラム共和国としてのイランの最高有指導者になるものとされる)。

 ムハンマドはイスラム教を批判する気はないが実学としての科学について興味を持っており、宗教がその形式や神の存在のありようを規定して成り立つものゆえにムハンマドが求める学問足り得ない。その事をカドを立てずに言うのに「教えられたことをただ模倣する類の神学」=イスラム教として手紙に書いていたのではないだろうか。

m.s. and bluebird
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朝「えみり既読おそーい」(『違国日記』6巻より)

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