歌舞伎鑑賞日記

2026年6月以降の鑑賞日記

弥珠
六月大歌舞伎

六月大歌舞伎

目次

六月大歌舞伎【夜の部】

歌舞伎座
2026年6月7日(日)16:30開演 ※Bプロ
2026年6月15日(月)16:30開演 ※Aプロ

演目あらすじ・出演者情報はコチラ⬇️
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/972

*・*・*

夜の部の通し狂言「盟三五大切」がダブルキャスト制だったので、2回に渡って観劇。

…と、その前に、初回の夜の部を観る前に、題材的に気になっていた昼の部の「子連れ狼」を幕見で拝見した。

昼の部「子連れ狼」

配役は獅童さんが子連れ狼、息子のなっちゃんが大五郎、依頼者役のヒロインが七之助さんで、勘九郎さんと米吉さんが王道の悪役(意外にもこれが似合うんだよなぁw)

歌舞伎というより、ガチの時代劇だった。殺陣もドラマさながらの動きで、音楽なんかはドラマから流用してる。もうこのままドラマ化して欲しいくらい。

照明の使い方も良くて、中でも夕焼けの表現が良くて印象に残った。

物語では米吉さんが嫉妬の末、七之助さんを…🫣

可愛いお姫様も良いけど、こういう悪女も似合ってしまうのが、米吉さんの良いところ。

あと、子連れ狼の愛刀がたぬたぬ(同田貫)だと、この日のイヤホンガイドで初めて知った(笑)

時間潰しの合間に…

夜の部「華舞於河賑」

小川家大集合。最近、獅子舞続きだなァと思いながら観ていた(笑)

※前回の能楽鑑賞日記を参照

イヤホンガイドを聴きながらだと、役者の家族構成の勉強になります(笑)

夜の部「盟三五大切」松也さんVer.

通し狂言。仮名手本忠臣蔵→東海道四谷怪談→本作という流れのスピンオフ作品。なので、忠臣蔵ネタと四谷怪談ネタがでてくる。

配役は源五兵衛と三五郎の二役を勘九郎さんと松也さんが日替わりで交互に演じるダブルキャスト制。

勘九郎さんは源五兵衛が初役で、松也さんは源五兵衛と三五郎どちらも初役とのこと。いきなりダブルキャストで2役とも初役ってすごいな。小万役は共通で七之助さんが演じる。

初回は、松也さんが源五兵衛役のバージョンを拝見。

松也さんはとてもピュアな源五兵衛を演じており、家財道具を売り払ってしまうほど入れ込んでる姿は呆れてしまうが、いざ騙されたとなると同情してしまう。

一方、七之助さんと勘九郎さんは息の合った夫婦役で、身を震わせながら逃げていく姿は息ピッタリだった!

あと、殺され役の巳之助さんが、またとんぼしてた!😳
(過去の公演でも披露してたのです)

大詰、因縁の夫婦の前に現れた、感情を無くした松也さん演じる源五兵衛は本人の透明感もあってか、本物の幽霊よりも幽霊みたいだった。でも生きてるんだよなと思ったら、生きてる人間が一番怖いとはよく言ったものだと思った。

でも、その直後の部下の八右衛門が庇う場面では、互いの絆を感じさせる人間味あふれる源五兵衛に戻るのである。復讐の鬼と人間の心を行ったり来たりして意外と忙しい。それだけ、あの夫婦のみを恨んでるのであろう。

てか八右衛門が一番かわいそう。
何も悪い事してないのに…そこまで主人のことを!😭

それでも源五兵衛は復讐をやめることはなかった。小万の首を抱きかかえる姿は愛情を感じた。恨んでいても、一度は惚れ込んだ相手…。

その後のリアル生首のシーンは必要だったのかな?と思ったけど(四谷怪談を意識したのかもしれないけど観客は笑ってたから😅)、ホントに夫婦になりたかったという気持ちの現れであると同時に、単純に松也さんの驚いた姿が可愛かったからアリということにしておこう(笑)

三五郎の最期は悪い奴だと思っていたら、実は良いことしてました、みたいな、すし屋を思い出すけど、めでたしめでたしとは行かない分、スッキリしないのは確か。

あと大家さんが、小万の兄で、しかも全ての元凶だったってのも凄い。昼ドラ並みの怒涛の展開。てか大家が化けてた幽霊の正体がイケボでバレバレなのわろた。いい配役だった。

夜の部「盟三五大切」勘九郎さんVer.

勘九郎さんの源五兵衛は、騙されたと分かった時の怒りに変わる表情が凄くて、彼の良心と恋心がマグマの底に転げ落ちて飲み込まれていく様子が伝わってくるような感覚になった。

あの場は八右衛門が一緒に怒ってくれたからこそ、客観的になれてその場は収めたが、八右衛門が居なければ、あの夫婦の首はその場で落ちていたであろう😰

そして五人切の場面では、斬り方や斬る順番など演出が異なっていて驚いた。

松也さんの時は斬った相手があの夫婦じゃないって気付いた時は驚く仕草をしていたが、勘九郎さんは相手が誰であろうと淡々と斬っていく姿が、冷酷で残忍で恐ろしかった。と同時に氷のような視線がとても美しかった。だから恐ろしい場面なのに何故かカッコ良いと思ってしまった🫣

勘九郎さんの源五兵衛があまりにも怖いので、彼の復讐に怯える三五郎と小万夫婦の震える姿にも説得力が増す。自業自得とはいえ、あんなのに命狙われたら、そりゃ怖い(苦笑)。四谷怪談のネタも入ってるので幽霊ネタも出てくるが、生きてる人間が一番怖いと、こちらでも思い知らされる。

小万殺しの場面では、松也さんは台詞にもある通り、まさに鬼(=怒り)だったが、勘九郎さんはそういう次元じゃなかった。小万のことを“愛してたのに、どうして?”と言わんばかりの悲しい表情で残忍に手をかけていく。この時、あぁ、人の心はこうやって壊れていくんだな、と思った。

凄く残酷な場面なのに、勘九郎さんの源五兵衛は小万への想いと悲しみと憎しみ、いろんなものが入り混じっていて、その姿が切なくて切なくて、観てると胸が締め付けられて泣きそうになった。人間の感情のその奥底にあるものを見せつけられたような感覚だった。

そして雨が降るところは本水を使用。実際に返り血を雨で洗い流す演出が入る。松也さんが古典的な王道な演出だとしたら、勘九郎さんの方は現代的かつ歌舞伎らしい演出だった。

あと小万の首に対して、松也さんは優しくおでこにキスしてたのに対して、勘九郎さんは肌を寄せるだけだったが、それがまたらしさがあって良かった。愛情表現が違っていても、その歪んだ愛の深さは両者に差は感じない。

結末では、Bプロでは取ってつけた感があったラストが、Aプロでは真相が明らかになって全てのピースがひとつにまとまった時、源五兵衛の復讐心が浄化され、人としての感情を取り戻したように見えたので、同じ内容なんだけど、こちらの方が納得できるような気がした。

とはいえ、松也さんのピュアで人間味のある源五兵衛も魅力的だった。今回は頑なに型通りで演るのではなく、役者の持ち味に合わせて演出を変えた所が、凄く良かったと思う。

ということで、、、

勘九郎さんの源五兵衛、好き過ぎるっ!!!!!😭

凄いものを観てしまった、そんな気分。
絶賛されてるのも納得。

AプロとBプロで、主演だけでなく演出も違うので驚いたが、それぞれのニンに合った演出で、これは両方観るべき作品だった。

あと八右衛門を演じた歌昇さんに助演男優賞をあげたい👏

2026年5月以前の歌舞伎鑑賞日記はコチラから⬇️