BS世界のドキュメンタリー 「ハルマゲドンを待ち望んで米国政治を動かす“福音派“」を観て

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目次

今回のドキュメンタリーでは、アメリカの約1/4が信仰しているアメリカ最大の宗教団体を取り上げている。

制作 ノルウェーの他はスウェーデン、ドイツ、フィンランド

ハルマゲドンを待ち望んで米国政治を動かす“福音派“』

前編 5月27日(火) 午後11:25〜午前0:15

“聖書を忠実に守り、ハルマゲドンとキリスト再臨を信じるアメリカの福音派。各地で相次ぐ火災や洪水、コロナウイルスや戦争も「世界の終わりの兆候」と語る牧師も。「キリスト教シオニスト」と呼ばれる人々は「多くのユダヤ人がパレスチナに住むとキリストの再臨が早まる」と考えており、そのロビー活動が外交政策にまで多大な影響を与えている。 原題:PRAYING FOR ARMAGEDDON(ノルウェー他 2023年)”

後編 5月28日(水) 午後11:25〜午前0:15

“アメリカの福音派の影響は軍にも。ライフルのスコープに聖書の引用が刻まれ、戦闘機部隊のエンブレムには十字軍のモチーフが使われている。布教活動に関わる高官もおり、従軍聖職者たちは極限状態の訓練を終えた直後の新兵に接触し、改宗させていく。定期的にテレビ出演する牧師は、中東の戦いは預言のとおり。最終戦争が近い。と人々を鼓舞する。原題:PRAYING FOR ARMAGEDDON/ノルウェー他 2023年”

敬虔な福音派、原理主義的な指導者、人口妊娠中絶反対運動の指導者フランシス・シェーファー(Francis August Schaeffer 1912年1月30日 - 1984年5月15日)の息子 フランク・シェーファー(元伝道師・著作家、映画制作者、画家)は話す。

フランク・シェーファー「世界の終わりにせよイエスの再臨にせよ黙示録の記述が現実に起きると皆が信じていた。こどもの頃トイレの水を流しながら水が血に変わっていないかと確認していました。なぜならそれがこの世の終わりが訪れる兆候だったからです。」

彼は18歳の頃疑念を持って洗脳状態から脱した。

「キリスト教では世界の終末についてさまざまな考え方がありますが、アメリカの福音派は皆ほぼ同じ考え方です。大きな苦難が世界を襲う前に信仰の厚い者は天に招かれ永遠の命が与えられるという教えです。」

「問題は、聖書の黙示録にはイスラエルが存在しないと終末も訪れないと読めるような記述があることです。」

アメリカの福音派の認識はこうです。
パレスチナ人の土地の回復に繋がるような行為、例えば中東和平プロセスは阻止しなければならない。イスラエルが古代と同じ領土を取り戻して初めてイエスの再臨が実現する。」

イスラエルに武器を支援し中東の戦争を焚きつけハルマゲドンを待ち望んでいる。

アメリカがイスラエルを頑なに支援するのはイエスの再臨が早まると考えているからだそうだ。冗談みたいな話だけど本気らしい。この思想がトランプを始めアメリカの議員に浸透し政策を左右している。

国連の安全保障理事会にてパレスチナのガザ地区での停戦、人道支援物資の搬入に対する制限の解除にトランプ政権のアメリカが拒否権を行使して否決されたのは当然の流れだった。イスラエルと蜜月の関係のアメリカ。安保理が機能不全になるのは火を見るより明らかだったのだ。私はこのニュースを聞いてここまでパレスチナを追い詰めているのに何故と思ったが話し合う前からわかりきってる事だった。他の国はわかってたんだろうか。

好戦的なカルト宗教、政治的圧力団体の影響下にあるアメリカは権威主義国家に変わってしまった。

あなたは選ばれた戦士、光の戦士などと選民意識をくすぐるのはカルト宗教がよく使う手法だけどこの福音派もそうだった。あなたは聖なる戦士だと。

「私が来たのは 平和ではなく戦いをもたらすためだ」というルカによる福音書22章を福音派の伝道師は読みあげていた。 

後編の番組の最後の方に、「南北戦争以来の血生臭い戦いになるはずだ」という言葉がこれからの未来を示唆していた。

先日 『チャイルド・ブライド-売られる子供たち-』ドキュメンタリー映画を観た。米国内で横行する児童婚の実態。牧師にレイプされたまだ子どもの年齢の自分の娘をその事実を隠蔽する為に親はレイプ犯と結婚させる。これも福音派だった。

米国内で横行する児童婚の実態に迫る。米国ではほとんどの州で児童婚が認められている。結婚を強いられた少女たちは18歳未満であるため法的に逃れる手段もなく、肉体的、精神的に苦しめられてきた。子供時代を奪われた女性たちが自らの経験を語り、児童婚の根絶を求めて声を上げる。

"Amazon.co.jp: チャイルド・ブライド -売られる子供たち| Prime Video"

第二次トランプ政権になってから、毎日のように驚くニュースが続いている。

「福音派」とは何だろう。ネットで検索しただけできちんと調べる余裕はないけれど大体概略が掴めてきた。と同時にこれまで見えなかった側面からアメリカが見えこれまでとは違う捉え方になった。「福音派」についてある程度知った後とその前はまるで違う世界観になってしまった。

「福音派」、「シオニスト」「クリスチャン・シオニスト」など気になった事柄について調べるほどわからないことが出てきて沼に嵌りがちだった。

信じられない言動にもそこにはその人なりの理由、筋道がある。それが見えてくれば解決策の糸口が掴めるかもしれない。

イスラエルを擁護している日本政府は中立的な立場で和平の実現を国際社会に促す方向へ模索してほしい。

以下、参考にした記事や抜粋したことなど覚書

・「福音派」と「非福音派」の違い
・「クリスチャン・シオニズム」と「シオニズム 」
・クリスチャン・シオニストにとってのユダヤ人
・反省無き植民地主義
・ユダヤ人の中の差別


「福音派」と「非福音派」の違い

福音派 - 聖書を文字通り理解する人々。


“精神的な生まれ変わりを経て聖書の言葉を自らの魂の救いの唯一の拠り所としてまじめに生活を営むキリスト教徒”

全人口の6割(64%)を占めるキリスト教徒のおよそ2人に1人(47%)は終末論を信じる(ピュー研究所)。

“キリストの再臨が差し迫っていると信じる信徒は保守的信仰をもち、貧困などの社会問題は再臨後に神によって解決されると信じ、再臨に備えて信仰を深めていく。個人の罪を認め悔い改めなければ永遠の魂が得られない。”

リベラル派(非福音派派 )- 聖書を解釈して言葉の背後にある意味を理解する人々

人間の手で社会を改善して千年王国を建設しなければ再臨はないと信じる信徒は、進歩主義的でリベラルな信仰をもつ。彼らは社会に埋め込まれた罪の存在を認め、社会の改革を置いて貧困の撲滅はないと考える”

□ 歴史

17世紀、迫害から逃れて新天地アメリカを目指したイギリスの清教徒(ピューリタン)

19世紀中葉
プロテスタントが多数派のアメリカに、カトリック移民が急増。公立学校でどの聖書を採用するかという問題をめぐって暴動にまで発展した。

20世紀中葉
保守的福音派とリベラルな非福音派
信仰と価値観を政治や教育に反映させるべく政治的活動を推進する宗教右派の台頭

レーガン政権が誕生した1980年の大統領選挙以来、保守的な福音派は共和党候補を、リベラルな非福音派は民主党候補を支持

□ 環境対策の考え方

“白人福音派は、神が地球を支配し制御するために人類を創造したと捉える。また、化石燃料などによる地球温暖化の人為起源説には懐疑的、または科学的根拠が不十分だと捉え、地球温暖化対策よりも経済成長を優先させる傾向がある。対して、リベラルな非福音派は、神が人類を創造したのは、人類に地球を管理させ、ケアさせるためであると捉え、地球温暖化対策を支持する傾向がある。”

□ 政治

信仰や政党支持によってイスラエルとパレスチナ支持に分かれる

共和党 - 信心深い人々の支持政党   
保守的な白人福音派の7割以上
→イスラエルを支持する傾向

民主党 - リベラルな信仰をもつプロテスタントか信仰をもたない人々、教会無所属者あるいは黒人など人種的少数派の支持政党。
→パレスチナを支持する傾向

以上 参照元 > "アメリカ市民社会を分断する8つの「断層線」――宗教は「アメリカの十字架」か?|じんぶん堂" https://book.asahi.com/jinbun/article/15583652

「クリスチャン・シオニズム」と「シオニズム 」

◇シオニズム

19世紀にユダヤ人のための故郷をパレスチナに建設するために生まれたナショナリズム運動 、パレスチナはユダヤの伝統におけるイスラエルの地にほぼ相当する    シオニズム wikipedia

◇クリスチャン・シオニズム

「イスラエルのためのキリスト教連合(CUFI)」Christians United for Israel

1975年創設 このドキュメンタリー番組に取り上げられているアメリカの約1/4が信仰しているアメリカ最大の宗教団体

「イスラエルのためのキリスト教連合」「イスラエルを支持する米国のキリスト教福音派」とも呼ばれている。

“神がアブラハムと結んだ「アブラハム契約」に基づき、シオン・エルサレムがアブラハムの子孫に永久の所有として与えられたとするキリスト教の教理の一つ。全教派で認められている、信じられている訳ではなく、むしろ信じている者は一部であり、キリスト教プロテスタントの福音派の一部や、ドイツルーテル教会のマリア福音姉妹会、末日聖徒イエス・キリスト教会などで信じられている教理。

近代シオニズムは、19世紀後半頃からアメリカのディスペンセーション主義(神の人類に対する取り扱いの歴史〈救済史〉が、七つの時期に分割されるとするキリスト教神学上の思想)の神学者達が主張するようになった。“ wikipedia

“そもそも欧州のキリスト教徒は中世までユダヤ人をイエス・キリストを十字架につけた民として、差別し、繰り返し迫害してきた。クリスチャン・シオニストもこの思想を前提としており、イスラエルの国民たちがキリスト教徒にならない限り「地獄に落ちる」と考えているため、実は反ユダヤ主義者であることも少なくない。“

“それでも多くのユダヤ人シオニストがバルフォアを英雄として称えているように、彼らはクリスチャン・シオニストの反ユダヤ主義に目を瞑り、ユダヤ人至上主義の国家をパレスチナに樹立するという共通のビジョンの実現を優先している。つまりイスラエル右派は、最終的には異なる目的を達成しようとしているクリスチャン・シオニストとの協力を、便宜的に選んでいる状況にある。”

“旧約聖書の「イスラエルの民」に象徴される「迫害された者への共感」は、英国での迫害を逃れたピューリタンによって建国されたアメリカという国の、国民的アイデンティティの礎として、とりわけ重要だ。この迫害された「イスラエルの民」のイマジネーションは白人のみならず奴隷として連れてこられたアフリカ系アメリカ人にも共有されている。アメリカ独立戦争後の世代に、多数がキリスト教に改宗したアフリカ系アメリカ人たちは、自分たちをエジプトの奴隷として苦しむ「イスラエルの民」であると認識した。”

“クリスチャン・シオニストたちは、昨年のハマスの奇襲から始まったイスラエルのパレスチナへの攻撃やヒズボラやフーシ派といった周辺諸国のイスラム原理主義者たちとの戦いに、聖書に記されていると彼らが信じる終末への兆候を読み取り、また暗殺事件を生き延びたトランプに「神の戦士」の姿を見出している。”

“キリスト教徒たちが唱えるクリスチャン・シオニズムがユダヤ人によるシオニズムより先行していたという事実、そして今もなお、数としても、政治力としてもクリスチャン・シオニストがユダヤ人シオニストを圧倒しているという事実は、欧米諸国がイスラエルを止められない理由を理解する上で看過できない事実である。しかもクリスチャン・シオニストたちが関心を寄せているのは、あくまでも聖書に基づいて想像された「イスラエルの民」であり、現実のユダヤ人ではないという点が重要だ。”

参考元“2050年までにキリスト再臨”を信じる人々がイスラエルを支持する理由とは?(柳澤 田実) | 学術文庫&選書メチエ | 講談社

“アメリカのイスラエル支援は、「神によって独自の運命に召された国としての自分たちの地位を正当化する方法」に他ならなかったのである。こうした文化的・歴史的同一性は、アメリカとイスラエルの関係をさらに強固なものにした。”

参照元なぜアメリカのイスラエル支持はかくも盤石なのか? | 公益財団法人 中東調査会

スイスのチューリッヒで生まれた一派、アーミッシュはドイツ系移民、カトリックの弾圧から1700年前後アメリカから逃れたという。ルーテル派(ルター派)とツヴィングリ派の新教再組織から分かれてきた。教育期間が8年間に定められており「知識が先行し、謙虚さを失い、神への感謝を失う」という意味で8年以上教育を受けられない。福音派と通じるものがあると思った。

“ジョン・ハギー(CUFIの指導者)は「米国に住むムスリムの82%は米国に忠誠ではない」という発言をしたり、「イスラムの聖典コーランはクリスチャン、ユダヤ教徒を殺害するように命じている」と言ってはばからなかったりする人物で、そのイスラム嫌いはことに有名だ。こうした世界観がトランプ大統領やその閣僚たちを支配している。”

“トランプのガザ・リゾート化構想は19世紀の狂信的な宣教師たちがパレスチナ人の土地を乗っ取り、彼らの改宗を目指した運動と酷似している。トランプの構想もパレスチナ人たちの土地を奪い、キリストの復活やキリストによる王国建設を考える福音派の宗教観に基づくものだ”

参照元 "トランプのガザ「リビエラ化」を支持する米国の福音派 ーそれは19世紀に失敗した植民地主義構想だった|宮田律

クリスチャン・シオニストにとってのユダヤ人(シオニスト)は駒

“現在のクリスチャン・シオニストとは、近代的な個人主義に基づく米国の民主党的なアジェンダに耐えられず、黙示録的な共同幻想に陥っている集団なのだ。「イスラエルの民」の救済、シオニズムは、彼らの共同幻想を駆動する物語の一つに過ぎず、結局ユダヤ人は彼ら自身の救済のための駒に過ぎない。欧米の白人たち主導の共同幻想に巻き込まれて、無辜のパレスチナの人々が殺されている現状は、間違いなくあってはならない事態である。

私たち日本人は、このキリスト教を背景とした欧米人の文化戦争に加勢するよりは、部外者だからこそできることを考えていくべきだろう。同時に、現代の個人主義に耐えられず共同幻想に陥ったクリスチャン・シオニストのような人々について、彼らを異常者扱いするのではなく、近代化された社会が必然的に直面することになる共通の問題として認識するべきではないだろうか。”

参照元 “2050年までにキリスト再臨”を信じる人々がイスラエルを支持する理由とは?(柳澤 田実) | 学術文庫&選書メチエ | 講談社

反省無き植民地主義

“ヨーロッパは、アジア、アフリカに対してヨーロッパ中心主義とレイシズムを持ち、それを植民地主義、帝国主義というかたちで実践してきたことを反省していません。ハーバーマス(ドイツを代表する哲学者のユルゲン・ハーバーマス)は、民主主義を成立させる理性を議論しますが、その理性はヨーロッパ人しか持っていない、アラブ人にはそんなものはないという思想を持っていますだから、ドイツの良心的知識人は一貫してイスラエルを支持しているのです。”

“第二次大戦敗戦後も日本は一貫してヨーロッパ植民地主義的の枠組みの中にあり、現在日本政府はイスラエルを擁護しています。ガザで起きていることは、私たちと無縁ではありません。”

"イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——前編|じんぶん堂"

ユダヤ人の中の差別

イスラエルの主流派のユダヤ人はホロコースト・サバイバーではない。

  1. イスラエルの建国運動を中心的に担った人たち。ヨーロッパ出身のシオニズム運動で入植してきた先住パレスチナ人とも英国統治政府とも戦ったマッチョシオニスト

  2. ホロコースト・サバイバー。
    ユダヤ人の人口を増やすためにイスラエルに受け入れた弱いユダヤ人の象徴。

  3. ユダヤ系アラブ人。 ユダヤ人の数を増やすために、1950〜60年代にアラブ地域に住むユダヤ教徒を半強制的に移民させた。アラビア語を話すアラブ文化圏のアラブ人だがアラブ系ユダヤ教徒の位置付け。アラブ系のユダヤ人はヨーロッパ出身のシオニストから差別を受けている。

イスラエル建国後もその地にとどまった先住パレスチナ人はイスラエル国籍を持つイスラエル国民だが二級市民扱いをしている。

“イスラエルの戦争や治安・占領政策の技術に注目し、イスラエルの技術を取り入れて「イスラエル化」を進める欧米と日本。けれども、それは安全をもたらすのか。むしろ植民地主義とレイシズムを悪化させ、不安要因をばらまいて、抵抗の要素を拡散しているのではないかと思わずにはいられません。”

参照元"イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——後編|じんぶん堂"

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