能楽鑑賞日記

2026年6月以降の鑑賞日記

弥珠
観世九皐会 7月定例会【第一部】

観世九皐会 7月定例会【第一部】

目次

観世九皐会 7月定例会【第一部】

矢来能楽堂
2026年7月12日(日) 12:30開演

解説 観世喜正

狂言『呂蓮』
  出家:山本東次郎
  何某:若松隆
何某の妻:加藤元

能『雨月』
老人/神職の老人:遠藤和久
       姥:中森健之介
    西行法師:宝生常三
    眷属の神:山本凜太郎

  笛:栗林祐輔
 小鼓:田邊恭資
 大鼓:柿原弘和
 太鼓:梶谷英樹

*・*・*

久しぶりの矢来能楽堂。

演目は山本東次郎師の狂言「呂蓮」と、遠藤和久師の能「雨月」。どちらも旅僧が一夜の宿を求めた先で起きた出来事を描いた作品だが、その内容は全く異なるが故に、能と狂言の違いを比較しやすい、良い番組だったと思う。

観世九皐会定例会は、昨年から観世喜正師のユーモアある解説が付いたので、より初心者にオススメしやすい公演になった。能1本+狂言or仕舞という番組で、金額もリーズナブル。しかも矢来能楽堂のあの距離感。サイコー👍

これから能を観てみたいと思ってる人に是非オススメしたい。

脇正面からの鑑賞

狂言『呂蓮』

【あらすじ】旅僧に宿を貸した亭主は、僧の説法を聞いて俄かに発心し、そのまま剃髪し呂蓮と法名を付けてもらう。そこへ何も知らない亭主の妻がやってきて・・・(公演チラシより)

冒頭の喜正さんの『呂蓮』の解説で、それを推し活に結びつけてきたのが新鮮かつ面白かった。

「最近、夫が能にハマって毎週、能楽堂に通ってるんだけど」

(ドキッ)

「能なんてあんなの何が面白いのかしら?…なんて思われてるかもしれませんよ(笑)」

(それウチの親だ😂)

「能を観るより私の話を聞いていた方が面白いと思いますが…」

(まさに舌好調!😂)

でも確かにハマったものに熱心になりすぎて、家族そっちのけになってはいけないよなーとは思う😅

山本家の呂蓮は初見で、話の筋は以前に観た茂山家とほぼ同じだけど、剃刀の小道具を使う所や袖で隠すところは和泉流に近くて、同じ大蔵流でも家毎に演出は異なるんだな、と。

■当時の感想⬇️
https://privatter.me/page/6612436dcded9

茂山家は各役者のキャラが濃いので爆笑した記憶があるけど😂、山本家は人間の滑稽さを素直に描いていて洗練されてる気がした。

とはいえ、主人が「俺は嫌だと言ったのに無理やり…(意訳)」と大嘘付いたところは、笑わずにはいられなかった😂

そして怒る妻と、嘘でその場を収めようとする夫、この夫婦の会話を聞きながらオロオロする旅僧の東次郎先生が可愛かった😂

この理不尽さを見事に笑いに昇華させた「狂言」の凄さを改めて感じた。

そして大蔵流の呂蓮を観れば観るほど、和泉流は何故あの結末になったのか、謎が深まるのであった😂

脇正面最前列からの眺め

能『雨月』

【あらすじ】住吉を訪れた西行法師が宿を借りようと立ち寄った庵には、秋時雨の風情を好む老翁と月光を愛でる姥の夫婦が住んでいた。老翁が発した和歌の下の句に、西行は見事な上の句を付ける。雨音のような松風と秋の名月を共に楽しむが、この夫婦は実は住吉明神の化身であった。やがて西行の前に神職に憑依した住吉明神が現れ、和歌の奥義を授けて舞を舞う。(公演チラシより)

凄い久しぶりに拝見した演目。こちらは短歌をテーマにした物語で、老夫婦の争いの内容にしても、旅僧の知名度にしても、どの場面をとっても狂言とは違って風流に徹している。

後シテの神の舞を目の前で観たら、とても有難い気持ちになった🙏