ミニマルな音楽制作
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アイキャッチは Unsplash から Ivan Jermakov 氏の作品をお借りしています。
現代の一般的な音楽制作においては、まず DAW そのものが非常に多機能で、プラグインも膨大な量を扱うことがある。もっとミニマルな制作スタイルを確立できないか?という自分に向けた考察。
前提
あくまで趣味での制作
作る音楽はループベースのようなものではなく、エモーショナルなメロディとナラティブな展開を持つもの
ハードウェア音源モジュールとして INTEGRA-7 を所有している
macOS を使用
Logic Pro で節々に使いづらさを感じている
判断のミニマル化
自分の作る・作りたい曲の方向性を考慮すると、各段階での選択肢を減らすのが効果的か。たとえばパレットを最初に決めてしまう。「この曲はピアノ、ストリングス、パッド、パーカッションの4声」と決めたら、それ以上音色を探さない。映画音楽の作曲家がスコアリング前にオーケストレーションの方針を固めるのと同じ発想。DAW の使い方としては、テンプレートを1つ作っておくとよさそう。トラック構成、バス、基本エフェクトを固定しておけば、毎回ゼロから悩まなくて済む。
音源を絞る
メロディと展開が軸なら、必要なのは「弾いていて気持ちいいメイン音源」と「空間を埋めるパッド系」、あとはリズムとエフェクト程度ではないか。たとえば Pianoteq や Keyscape 1つとオーケストラ音源1つ、汎用シンセ1つに絞ったとしても、かなり幅広い表現ができる。3つの音源を深く知っている方が、20個を浅く使うより結果的に個性が出るという考え方。
セールや無料配布で大量に手に入れてしまうプラグインについて
持っていること自体は問題ではない。問題になるのは、制作中にそれらが選択肢として目に入ってしまい、迷いが生まれること。つまり「所有」と「運用」を分ければいい。
具体的には、多くの DAW にはプラグインのお気に入り機能やフォルダ分けがあるので、実際に使う一軍を 5〜10 個だけ登録して、普段はそこからしか選ばないようにする。残りはアンインストールせず、ただ視界から消すだけ。新しい音が欲しくなったときに「倉庫」を覗きに行く、という使い方なら蓄積が活きる。
セールとの付き合い方としては、「今作っている曲、または次に作りたい曲で具体的な用途があるか」を基準にするとかなり歯止めがかかりそう。用途が思いつかないなら、無料でもスキップする。仮に後日必要になっても、似た機能のものは別のセールでまた出てくる。
あとは定期的に「この半年で実際にプロジェクトで使ったプラグイン」を振り返ってみる。本当に必要なものが分かり、それが自分にとっての一軍リストになる。
INTEGRA-7 の活用
INTEGRA-7 はそもそも「一台完結」を想定して設計された音源なので、縛りとの相性が良い。
SuperNATURAL の音色はアコースティック系もシンセ系も質が高く、SRX の拡張波形も全部入っているので、音のバリエーション不足で行き詰まる心配はほぼないといえる。むしろ展開重視でメロディが軸というスタイルには、ハードウェア音源の「出音が最初から完成している」性格が合っている。プラグインのように音作りの深みにはまって曲が進まない、ということが起きにくい。
実用面でいくと、16パート使えるのでオーケストラ的な編成も十分組める。DAW から MIDI で鳴らしてオーディオで録る、というシンプルなワークフローになるので、制作の流れ自体もミニマルになる。エフェクトもモジュール内で完結できるので、DAW 側はほぼ録音と編集だけに徹せられる。
一つ意識しておくとよさそうなのは、音色選びの段階で迷わないよう、自分なりの「基本編成テンプレート」を INTEGRA-7 側の Studio Set として保存しておくことだろうか。毎回16パート全部をゼロから選ぶと、結局プラグイン選びと同じ沼にはまる。
ハードウェア縛りのもう一つの良さは、「この音源の癖や質感」が作品全体に統一感を与え、それが自然と自分の音楽の個性になっていく。
DAW の選定
Reaper がよさそう。本体が 15MB 程度と極めて軽く、付属音源やループ素材がほぼないので、最初から「余計なものがない」状態で始められる。MIDI 編集機能はプロユースに耐える水準で、テンポチェンジや拍子変更もタイムライン上で自由に扱える。個人利用ライセンスが $60 という価格も、趣味の制作には理想的。UI も自分好みにカスタマイズできるので、使わないメニューやツールバーを非表示にして、さらにシンプルにできる。
結論
リソースを「音色の選定」から「メロディ・構成の検討」へ振り分ける
選択肢の多さによる迷いを排除し、楽曲の核心(展開や旋律)にリソースを集中させる。
INTEGRA-7 をメイン音源に据えたワークフローの固定
音作りやエフェクト処理をハード側である程度完結させ、DAW 側での試行錯誤を物理的に減らす。
INTEGRA-7 の Studio Set に「自分なりの基本編成」を保存し、起動即演奏できる状態を作る。
プラグインの「視覚的な制限」と「運用の分離」
常用する 5〜10 個の「一軍」のみを DAW 上で表示し、それ以外は「倉庫」として隠す。
セールや無料配布は「今、具体的な用途があるか」だけで判断し、プラグインの肥大化を防ぐ。
Reaper による「余計なものがない」制作環境の構築
Logic の多機能さに振り回されず、Reaper を「MIDI 編集と録音のための軽量な道具」としてシンプルに運用する。
トラック構成やバスの設定をテンプレート化し、初期設定の工数をゼロにする。
「制限」を統一感(シグネチャー)として利用する
音源数や音数を絞ることを、作品のトーンを一定に保ち、自分の個性を作るための戦略と捉える。
ソフトウェア開発者(Web / モバイル) [住んでいるところ] 太陽系, 地球, 日本 [趣味] 音楽制作 / ベクターアート制作 / ゲーム開発 [興味のあるもの] いきもの / ポケモン / VTuber(にじさんじ箱推し) [嫌いなもの] 有象無象