本の感想 第1回 / 全1回

ねじまき少女 感想

不在

cosenseで書いていたメモを整えた記録

★★★☆☆

読了:2026-8-31

著:パオロ・バチガルピ

訳:田中一江、金子浩

出版社:早川書房/2009年

ISBN:978-4150118099/978-4150118105

 面白いと聞いていたのと、鈴木先生が表紙絵をやっていらしたので購入。独自用語の説明が皆無すぎるので勘で読んでいた。読み終わったあとでもよくわかっていない部分が多いけど、もう1回読むかは微妙。

 上巻最後(ジェイディーが死ぬあたり)からやっと面白くなってきた感じ。正直あんまり理解できる人柄ではないけど、カリスマ性があるのはわかる。

 書かれたのがジャパンパッシングの時期あたり?っぽいので、日本に対する偏見がすごい(タイに関する描写も色々ずれてそうな気がする)。

 結局ねじまきの服従遺伝子が犬由来なんじゃないか、とか言われててウーン……という顔。ねじまきが「日本人よりも日本人」と言われる前提も相まって微妙な感じする。あんま気にしたことなかったんだけどねこういうの。人種関連の話でリアリティを持たせようとするのは海外小説にありがち(偏見)。

ただ、犬には仲良くしたい遺伝子があるみたいな話を見たのであながちなのかも。

 カニヤとホク・センは視点が多かったのもあって共感がしやすいキャラだった(気がする)。カニヤはずっとジェイディーの霊に憑かれてたけど……。ジェイディー視点の時にはそこまで気にするタイプではないと思っていたのでちょっと意外だった。いや悪霊が実在してる前提なのか幻覚なのかちょっと怪しかったけど。

 マイとキップは挙動からしてかわいいのでこの2人はけっこう好き。

 エミコはちょっと不安定なので難しい。人と少しだけ違う存在である描写は時折あったが、「ねじまき」が結局よくわからない。人種差別が残っているので、人間→人間、人間→ねじまきの差別構造が同じすぎる。

 娼館などで「ねじまき特有の動き」の描写をされることがあったが、エミコが人間と変わりなさすぎて身障者をどうこうやってる感じにしか見えなくなっていた(想起してしまったというだけで差別意図はない)。

 ねじまき少女なのに、ねじまきを巻く描写なかった気がするので、機械キャラにもあまり見えない。血も流れるし。オーバーヒートに近い描写は多かったけど、そもそも舞台が暑い街なので、人間でも暑い。

 追いこまれたときの瞬発力に関しても、娼館で一度も発揮されたことがなかったんだろうか。

 彼女が作中で最初に潰したのはローリーだが、それよりも同じ娼館の女の子や客にひどいことをされている描写のほうが多い……気がする。

結局、北にあるというねじまきたちの村に関しては行動のきっかけにすぎなかった感じ。きっかけは希望をもつって意味じゃ大事だけども。

 遺伝子改造って強すぎる!果物などは一度絶滅しているのを復活させていたりする(元々遺伝子改造されてるだろうに、その上で絶滅したり病気で食べられたもんじゃなくなってる)のに、チェシャ猫がやたら強い。あとは川がヤバいとか言われてるし食べてる描写もあるのに、魚の話は見なかった気がする。

 あんまりSFっぽくないとは思う。宇宙とか宇宙人が出てくるだけがSFじゃないのは当然だが、政治の話に行ってしまっていたので。ねじまきの話があんまりなかったのもSFぽくなさに拍車かけてる感じ。

政治の話があっても面白くなるやつは面白くなるけど、これはやろうと思えば現代でもほぼ同じ内容できそうではある。

不在
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