Wikipediaの記事のための肖像写真提供ガイド

Wikipediaの記事のための肖像写真提供ガイド

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結論:新しく撮ってCC BY-SA 4.0で公開するのが最短。ただし取り消せません

この文書について

この文書はWikipediaやWikimedia Commonsの各種文書、過去の各種事例での議論を元に私(草野貴之)が個人的に書いたもので、それぞれのプロジェクトを代表するものでもなく、公式のガイドラインではありません。ヘッダーの写真は筆者が2022年12月15日に東京大学農学部のキャンパスで手持ちのiPhoneで撮影した1902年製作のヨハネス・ルードヴィヒ・ヤンソン像です。

すべて自分の手で書きましたが、OpenAIのGPT-5.6 Sol、GoogleのGemini Flash 3.6 Flash、Claude Opus 5にチェックはしてもらって、それを参考に手動で修正を加えています。

ライセンスはCC BY-SA 4.0とします。改善点、コメント、意見などありましたら、Blueskyの@tkusano.jpまでお願いします。

Wikipediaに掲載できる写真とは

Wikipedia(ウィキペディア)で使える写真は、「Wikipediaだけで使ってよい写真」ではありません。Wikipediaは一定の条件のもとで自由に利用・再利用できる百科事典を作ることを目指すプロジェクトです →Wikipedia:五本の柱

Wikipediaにある人物のページには肖像写真が載っていることがありますが、中には撮影可能だったどこかのイベントで撮影された、必ずしも被写体本人にとっては本意ではない写真が載っていることがあります。本人が好まない写真であっても、そのことだけを理由としてWikipediaでの使用やWikimedia Commonsでの保存をやめてもらえるとは限りません。

肖像に関する権利の侵害だと思ったとしても、撮影場所、目的、態様など様々な事情から判断されるため、必ずしも肖像権の侵害になるとは限りません(権利の侵害であると考えるのであれば、それぞれの写真のノートで議論をして消すこともできますが、事務所等のプロフィールページに載ってる宣材写真を何も考えずに許諾を得ずに転載する、といった明らかな著作権侵害以外だと、消されない事例も多いです)。

そこで、新しく撮影した肖像写真をWikipediaで使えるようにする、という手順を取ることが考えられます。その場合は、通常Wikimedia Commons(ウィキメディア・コモンズ) という、Wikipediaなどで利用する画像等を共有するWikimediaのプロジェクトに世界中で使用できる「自由ライセンス」で投稿します。

具体的なライセンスとしては、このガイドではWikimedia Commonsでも推奨されている(→参考)、「CC BY-SA 4.0」と呼ばれるライセンスを推奨します。このCC BY-SA 4.0を簡単に説明すると、このライセンスで公開されている著作物の利用者には、以下の条件が課されます。

  • 著作者名など、指定されたクレジットを表示する

  • CC BY-SA 4.0であることを示し、ライセンスへのリンクを示す

  • 改変した場合は、そのことを明記する

  • 改変物を公開・共有する場合は CC BY-SA 4.0 または互換性のあるライセンスで共有する

これらの条件を守ることで、コピー、再配布、改変、商用利用などができます。

商用利用について少し詳しく説明すると、商用出版物に掲載する際にも、著作権については、条件を守れば著作権者への事前連絡や追加の許可は不要です。ただし、写真の被写体については、肖像やプライバシー、パブリシティに関する権利が別に問題となることがあります。

肖像権やパブリシティ権

人物写真において問題となるのは著作権だけではありません。肖像権やパブリシティ権といった権利も関係します。「肖像権」「パブリシティ権」という名称の権利を直接定めた法律はありませんが、判例によって人格的利益などとして法的保護が認められてきました

Wikipediaに掲載されている写真が著作権的に自由であっても、使うにあたって肖像権やパブリシティ権についても注意が必要であることには変わりありません。

特に、被写体がプライバシーを期待する状況で本人に無断で撮影した写真は、Wikimedia Commonsへの投稿には適しません。Wikimedia Commonsのガイドラインに肖像権、パブリシティ権について明確に述べられています。 → Commons:識別可能な人物の写真

また、商用出版物に載せることは CC BY-SA 4.0 というライセンス上はOKですが、「◯◯◯◯のブロマイド写真」といって、その写真を販売することは、被写体がタレントや俳優、声優などの場合(著名人など、その肖像自体が顧客吸引力を持つ場合)はパブリシティ権の侵害となる可能性があります。
まったく関係のないお菓子のパッケージに「おいしい!」などといったキャプションと共に写真が使われているような場合も同様の侵害になることでしょう。

写真には誰の権利や同意が関係するか

撮影者・著作権者

写真の著作権は通常、写真を創作した撮影者にあります。ただし、契約による著作権譲渡や職務著作などの場合は異なることがあります。本人や事務所が撮影料を支払ったというだけで、自動的に本人や事務所が著作権者になるわけではありません。

なお、撮影者が著作者である場合、著作権を事務所などへ譲渡しても、撮影者の著作者人格権は譲渡されません。そのため、撮影者にも自由ライセンスによる公開や改変を前提とした利用について説明し、合意しておくことが望ましいです。

参考

被写体本人

新たに本人の協力を得て肖像写真を撮影する場合は、Wikimedia Commonsで世界中に公開され、Wikipedia以外でも利用され得ること、著作権上は商用利用や改変も認められることを事前に説明し、本人の同意を得ておくことを強く勧めます。

ただし、これは撮影者が写真をCC BY-SA 4.0で公開することとは別の話であり、被写体が肖像権やパブリシティ権などを全面的に放棄することを意味するものではありません。

参考

撮影のコツ

  • 高解像度であること

  • 顔にピントがあうようにする

  • 現在の容貌であること

  • 背景に著作権のあるポスター、イラスト、キャラクターなどが大きく写り込まないようにする

  • 衣服についても、大きなキャラクター絵柄などが主題になるものは避ける

  • 写真ファイルのEXIF等のメタデータに、自宅・職場などを特定し得るGPS座標その他の不要な個人情報が含まれていないことを確認すること。また、そのような情報が写真に写っていないことを確認

  • 過度な美肌加工や顔貌・体型を変えるレタッチを避ける

  • 不自然に引き伸ばしたり押しつぶしたりしない

公開手順

2つの手順を参考として挙げます。どちらの手順であっても、

  • 一度CC BY-SA 4.0で適法に公開した写真は、原則として後からライセンスを取り消せないこと。

  • Wikipediaの記事で採用されることは保証されないこと。

ということに留意してください。

手順1 - 撮影者、または、協力者が直接アップロードする場合

写真の著作権者(撮影者)、あるいは、その権利者から依頼を受けた第三者が自らWikimedia Commonsにアップロードする場合の手順はこのようになります。

  1. 撮影者が新しく撮影する。

  2. 撮影者(著作権者)がCC BY-SA 4.0で公開することを決め、被写体本人にも公開・再利用の条件を説明して同意を得る。

  3. 撮影者がWikimedia Commonsへ自作として投稿する。撮影者本人が投稿しない場合は、協力者が投稿する。写真が別の公開Webページ等ですでに自由ライセンスであることを確認できない場合は、著作権者自身(または正式な代理人)がVRTへ許諾を送り、確認を受ける。

  4. 本人・所属事務所・撮影者などと利害関係がある場合は、その関係を開示したうえで、記事のノートページで写真の採用を提案する。

VRT とはVolunteer Response Team、つまり、問い合わせ対応ボランティアチームの略です。詳しくは「Commons:問い合わせ対応ボランティアチーム」を参照してください。

手順2 - ウェブ上で公開して第三者にアップロードしてもらう場合

本人や事務所がCommonsへ直接アップロードしなくても、写真をあらかじめウェブ上でCC BY-SA 4.0として公開し、それを見た第三者にアップロードしてもらう方法があります。

  1. 撮影者、被写体本人、事務所などの間で権利関係を確認する。

  2. 写真の著作権者がCC BY-SA 4.0での公開に同意する。

  3. 公式サイトなど、第三者が確認できる場所で写真を公開する。

  4. 公開ページには、撮影者、著作権者、CC BY-SA 4.0で公開していること、被写体本人など関係者が公開を了承していることを明記する。公開ページでは、写真そのものとCC BY-SA 4.0の表示との対応関係が明確になるようにしておいてください。たとえば、写真の直下に以下のように記載します。

    Photo by 撮影者名 / CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/

  5. ファンやWikipedia編集者などの第三者が、そのページを出典として撮影者を著作者としてWikimedia Commonsへアップロードできる。

※ただし、ウェブ上で公開しても、第三者が必ずアップロードしてくれるとは限りません。

保証されないこと

  • Wikipediaの記事冒頭に掲載されること

  • 永久に掲載されること

  • 事務所が希望する説明文やトリミングが維持されること

  • 古い写真が削除されること

  • 外部利用するにあたっての事前連絡があること

  • 一度付与したCC BY-SA 4.0のライセンスを後から撤回すること

  • Wikimedia Commonsから写真が削除されても、すでに外部へコピーされた写真まで消えること

  • Wikipediaの記事に一度掲載されても、他の編集者による差し替え・除去がないこと

参考

履歴

  • 2026年8月10日 初公開

日誌  (mo)
日誌 (mo) @tkusano.jp

@tkusano.jp が mochott で書いてるブログです

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