蚊帳で寝た日は懐かしく遠く
私には幼馴染みがいた。今はもう彼岸の人。幼稚園も小学校も一緒で習い事も一緒。学校が終わって習い事のない日はほとんどその子のうちに入り浸っていた。猫が何匹もいて、元気な爺ちゃん婆ちゃんがいて、2階や納屋があって、じぶんちとは違うそこはじぶんちのように落ち着く場所だった。幼馴染みが親戚のうちに泊まりに行ってて会えなかった時も「あがってきな〜」と婆ちゃんや遊びに来てた叔母さんたちに誘われて遠慮無くお菓子だのカルピスだのをいただいて寛いだりしてた。会えなくなってもう何十年も経つけれど時々夢の中では会っている。だから長い間ご無沙汰してるだけでまたいつかひょっこり会えてしまう気さえする。
子供の頃のその子との夏休みは特別に印象に残っている。泊まりにおいでと言われたのか泊まりに行きたいと言ったのか、ある夏の日に初めて泊まらせてもらった。日が暮れた頃、その子にとってはいつも通りの寝支度のひとつとして「蚊帳をつる」があった。ジブリアニメの『となりのトトロ』に出てくるあれである。
細かい手順は覚えていないけれど、婆ちゃんと幼馴染みと幼馴染みの兄弟たちで蚊帳をつり、蚊取り線香を焚き、蚊帳の中に入るときはサッと入るんだと教わってサッと中に入った。爺ちゃん婆ちゃんと幼馴染みと兄弟たちと私。川の字になって寝た。その記憶が強烈過ぎて、幼馴染みがうちに泊まりに来た時の記憶はまるでない。写真に残っているだけ。
何度か引っ越しをした後、現在の私は子供の時と同じ場所で暮らしている。夏はとにかく暑くて蒸していて夜になってもエアコンを付けずにはいられない。あの頃、我が家は蚊帳こそなかったが網戸にして外の風が入る状態にしてエアコンなしで寝ていた。昼間それなりに暑くても夜涼しかったあの頃が懐かしい。そんな風にふんわりと思い出に浸ったままでいられぬほどこれ以上の気候変動まったなし環境破壊も解決ならずの今である。そのためにも戦争を止める。戦争は気候変動対策しながら出来る物ではないし環境破壊をするものだから。止めるし新しく始めさせない。蚊帳で寝た日を思い出す思考の余白を浸食する戦争を許さない。
本当はふわふわふんわり暮らしたいんですよ。
「よしの」の別邸です
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