「8番出口」観た
目次

アマプラで観れるということで視聴した。ただしほとんどセリフが聞き取れなかったので(難聴?)、先にいろいろな人の感想を読んで補完しながら感想をまとめるという、主体性の薄い感想文になる。
【気になる点】「ボレロ」と主人公像の不一致
主人公が電車の中で聞いている「ボレロ」はループミュージックとしても有名らしく、物語の構造に沿っているという点ではこの選曲は効果的であると思った。しかし、この主人公が聞く音楽か?という点が気になった。
どこか疲弊しているような顔の主人公は収入の安定しない職に就いており、電車に乗って派遣現場へ向かう最中である。イヤホンから流れる曲は「ボレロ」。赤子の泣き声に気を取られ横目で見やると、それに苛立ったサラリーマンが怒号をあげる。その喧騒を一旦スルーしようとイヤホンを再びつけ、スマートフォンに目を落とすと、彼女からの電話。電車をおりてから対応すると、なんと彼女の妊娠が発覚する。……
こいつ、ボレロ聞きます? そもそもクラシックとか聞きますか? なんかもっとダウナーなヒップホップ聞いてそうじゃないですか?
いや、演出で「ボレロ」にすり替えているだけで、実際に主人公が聞いている曲は全く違うものかもしれない。そう考えるとまあ、別にええか。
【良かった点】変なシーンが少なかった
主人公と恋人とのイチャイチャ回想シーンやおじさんが女子高生(異変)に対し妙なことをする……といったシーンが皆無でよかった。ワンチャン有り得そうだったから。
そういったシーンがなかったのが好印象だった。95分という尺の中で、「8番出口」という空間の設定を活かしつつ、メリハリをつけながら綺麗にまとめあげてくれた。
ただ、原作だと血の海が襲ってくる異変が、かの震災を想起させる津波になっていたのは嫌だった。小説版にはその経緯が詳しく書かれているらしいが、急に見せられるとみんな嫌ですて。
どうやら映画版の「8番出口」は、迷い込んだ人間のトラウマを刺激する異変が襲いかかってくるようだ、というのはなんとなく理解できた。だから血の海じゃなくて津波だったらしいが、あれは主人公だけのトラウマには収まらないので、あの異変の変更点だけは受け入れられなかった。
「8番出口」という空間は消えたわけではない
主人公は「8番出口」を脱出し、再び電車に乗り込む。しかし今回は仕事に行くのではなく、彼女の待つ産婦人科へ、だ。
正直、ラストでも起きていた電車内の騒動から主人公はまた目を逸らすと思ったのだが(そう思わせる絶妙な間だった)、解決のために動いてくれたことで安心した。
ただ、彼が脱出できたからと言って「8番出口」という空間が消えたわけではなさそうである。となれば、また「何か」を抱えた誰かがあの空間へ飛ばされるのではないだろうか。そしてそこには「おじさん(歩く男)」が変わらず歩き続けているのではないだろうか。それとも……。
誰もが「異変」になりうる
異変と化したおじさんがかつて迷い込んだ人間であったように、あの空間に入ってしまえば誰でも異変そのものになる可能性がある。
そうであれば、おじさんの前にいた女子高生はどこへ行ってしまったのだろう。女子高生のセリフだけはよく聞き取れたので、それを思い返せば彼女たちは既に死んでしまっていて、肉体だけが「8番出口」に利用されているのかもしれない。となればおじさんを取り込んでからは用済みで、彼女は完全な死を遂げてしまったのだろうか。
ただ、主人公もそうだが、現実世界で明確な死の描写がなく突然あそこに迷い込んでいるわけなので、普通に生きているような気もする。だとすると「8番出口」は何がしたいのかよく分からない。迷い込んだ人間を餌にしたいのか、成長させたいのか。その辺は考えてもナンセンスかもしれないが。
――誰もが異変になりうるあの空間を、次に歩いているのはあなたかもしれない。
思考の整理と日記。
いんぷっと の 巻
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