古いカードの思い出 後編
前編はこちら。
わたしは部屋の中央で目が覚めた。うわっ今何時だ。夜中の十一時? え、ていうかさ。
猫に噛まれたところ、まだ痛いし腫れてない?
野良猫に噛まれたらどうなるのかを今更調べると、「最悪死にます」と出てきた。
死ぬ? このわたしが? 年の瀬に?
嫌すぎたので夜中にやってる病院を調べに調べ、震えながら電話をかけた。幸い診てもらえるとのことで、わたしは必要最低限の荷物を持って夜中の西成を歩くことになった。
実際、西成といえど時代も雰囲気もガラリと変わって、小さい頃から親に言い聞かされていたような感じ(マイルドな表現)はまったくないのだが、やはりこの時夜中に歩くのは怖かった。というか深夜に街に出るのは西成でなくとも怖い。ちなみに誰も歩いていなかった。そりゃ年の瀬ですもの。
しかもコロナ禍で病院が恐ろしいほど大変な時に、野良猫に噛まれた人間が深夜に来るとか、愚の骨頂すぎるよね。
結論、厄介な感染症などにはかかっておらず、点滴のみの処置でなんとか事終えた。申し訳なさとまだ体に残る疲れとで、点滴中は意識が朦朧としていた。会計を済ませた後、夜風に再び体を撫でられながら、わたしはただ運が良かったのだと思った。
みんなは野良猫に噛まれたらすぐに病院に行こうね。かかる可能性のある感染症はパスツレラ症、破傷風、猫ひっかき病などがあるよ!
西成の思い出は他にも、お布団屋さんでお布団を買ったら家までお布団ごと車で送ってもらえたこと、薬局へ行ってお薬を出してもらったらなぜか缶の緑茶がおまけでもらえたこと、「一斗」という焼肉屋が最高だったこと、道端に落ちていた犬のうんこの周りがチョークで丸く囲われていて、「持ち帰れ」と書かれていたことなどがある。
短い間だったが、あそこで過ごした日々は忘れられない。
思考の整理と日記。
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