米国政治キーワード Part 4 of 5

米国政治キーワード(4)大統領の人事権・国防省

Table of Contents

大統領による人事

閣僚(=省の長官)や省やその外局(FBIやNASA)の重要ポスト(長官、次官、次官補など)に関しては大統領の指名→上院での公聴会を経ての本会議での承認議決を必要とする。このような上院承認人事対象は1200に及ぶといわれている。

大抵は承認されるが二極化により対立が深まっている政治状況もあって時に撤回に追い込まれるなどの事例も存在する。なお長官が上院で承認されるまでは代行(acting)が臨時で職務を担当する。

連邦判事も大統領の指名について上院の承認議決を必要としているが、連邦判事の地位は特殊で裁判権独立とその保護のため生涯在任が可能となっており本人の意思以外でその任を解く事は制限されている。

大統領が連邦判事を指名できる事を政治利用しようとした例としてはフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領(FDR)がいる。彼は連邦最高裁がニューディール政策関係法に対して違憲判決を出す動きがあり、政策を支える法律が無効になる可能性が出てきた際に連邦最高裁判事の定数を増やしルーズヴェルトが最高裁判事を追加任命を可能とする法案を出させようと画策、連邦最高裁はこの動きに恐怖して違憲判決を回避したことでFDRはその画策を取りやめた。のちの共和党と白人の福音派が中絶に対する連邦による介入判例を撤回させようと連邦最高裁判事の右傾化人事を共和党政権で画策していくことになる事例の先例とも言える。

国防「総」省と「戦争省」

アメリカ合衆国建国時、当初置かれた軍事を担当する省がDepartment of Warで陸海軍とも管轄していた。海軍はほどなく分離されて海軍省が置かれ陸軍のみになった「戦争省」は名前を変えることなく第二次世界大戦終結まで存続した。戦後、第二次世界大戦の戦訓として陸海空軍を統一管理する省の設置が図られて別名(National Military Establishment)を経てDepartment of Defenseとなった。陸海空軍省はこのDoDの下に入り各軍長官は非閣僚化され、閣僚としてはSecretary of Defense(国防長官)のみになった。陸海空軍省とその長官もいるためかDepartment of Defenseの訳語は「国防総省」となっているが原語にはそのような意味は含まれていない。

トランプ政権(2期)において伝統を復活させるとか主張してDepartment of Warの名前を大統領令により復活させた。が、前述したようにDept. of Warはその大半の期間で陸軍省の名称でそもそも国防総省の名前だった事は史上なかった。なお国防総省の名前は連邦法で規定されているものであり、法改正はされていないため大統領令では「ニックネーム」として使用するとしており、正式名称は今もDepartment of Defenseから変わったわけではないし、日本での報道で使われる訳語も従来通りとされている(NYTやCNNも従来の呼称を維持)。
なおインターネットでのドメイン名に関しては法的な正式名称に当たらないためか、旧来のdefense.govをブラウザで閲覧しようとするとwar.govにリダイレクトされる変更がされている。

m.s. and bluebird
m.s. and bluebird @bluebirdflyagain.bsky.social

朝「えみり既読おそーい」(『違国日記』6巻より)

No comments yet