米国政治キーワード Part 21 of 33

(21)“Mahanoy Area School District v. B.L.” 判決

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(10)合衆国憲法修正第1条(いわゆる表現の自由) の追加編です。

“Mahanoy Area School District v. B.L.” 判決

2017年、公立校の生徒であったブランディ・レヴィ(Brandi Levy)さん(当時14歳)が学校のチアリーディング部の1軍チームメンバーに入れず、不満を24時間で投稿内容が消えるSNSサービス「Snapchat」に投稿した。250人ほどいたフォロワーの中にこの投稿内容を問題視した人がおり、学校側へ通報した。
学校は学則に反する汚い言葉遣いで文句を投稿したことを問題視し、チアリーディング部2軍チーム活動への参加を1年間禁止するペナルティを課した(チアリーディング部への参加禁止と同義)。このことからブランディさんとその保護者(両親)は、公立学校区のペナルティは合衆国憲法修正第1条(表現の自由を制限する法律の制定禁止等)に抵触する無効な処分だとして連邦地裁に提訴した。控訴裁を経て争いは最終的に連邦最高裁まで持ち込まれた。

2021年6月の判決では、一人の反対(クラレンス・トーマス判事)を除く賛成多数により学校区が敗訴した。

連邦地裁では学校区に対してブランディさんが学校による処分を仮差し止めする命令を申請、地裁側がこれを認めており本訴訟の正当性と生徒という立場の弱いブランディさんの法的正当性を保証するものにもなった。

本事案については先行判例事例も存在しており、憲法上の他の権利との兼ね合いや、表現規制が必要と考えられる事態(いじめなど加害行動に対する対応等)が考慮されたが、ブランディさんの学校外での発言を学校が制限できるという判断には至らなかった。

ただ、制限できる場合があるという裁判所の判決内容に学校区側も納得せず、訴訟は控訴裁判所へ持ち込まれた。ここでも学校区が敗訴したため上告し、連邦最高裁判所にまで結論が持ち越されることになった。

連邦最高裁判決の法廷意見はブライヤー判事により書かれた。唯一反対したクラレンス・トーマス判事は1969年の“Tinker v. Des Moines Independent Community School District”判決などを引用しているが、最高裁はSnapchatの投稿内容が特定の人物などの名前を挙げておらず、学校やコーチらに重大な混乱を与えた証拠もないことを理由に、合衆国憲法修正第1条に違反した処分であるとして違憲判決を出した。

合衆国憲法修正第1条の射程

合衆国憲法修正第1条は、国もしくは自治体(自治体への適用は他の条項・判例により確立)が表現や信教、集会の自由を規制する法律の制定自体を禁じている。国や自治体は法に基づく権限でなければ処罰できないため、公立学校区による表現に対する処罰は、処分根拠となる学則等が違憲なるため無効という傾向の判例があって、今回の判決もその延長線上に属する。

もし彼女の通っていた学校が私立学校だったら。この判決は私立学校を範疇に含んでいないため、処分は合法(合憲)という結論になった可能性は極めて高い。アメリカの表現の自由が日本や欧州と異なることを考える材料にもなる判決と言える。

参考資料

Mahanoy Area School District v. B.L. - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Mahanoy\_Area\_School\_District\_v.\_B.L.

Tinker v. Des Moines Independent Community School District - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Tinker\_v.\_Des\_Moines\_Independent\_Community\_School\_District

m.s. and bluebird
m.s. and bluebird @bluebirdflyagain.bsky.social

朝「えみり既読おそーい」(『違国日記』6巻より)

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