(27)CVN-81を巡って アメリカ海軍航空母艦命名考
目次
海軍十字章受勲者 合衆国海軍水兵ドリス・ミラー
2020年1月、アメリカ海軍はジェラルド・フォード級航空母艦の4番艦、CVN-81にドリス・ミラー(真珠湾奇襲攻撃時に応戦した英雄。黒人水兵として初の海軍十字章を受勲。名誉勲章は妨害した高官がいた結果だった。後に乗艦だった護衛空母が撃沈されて戦死)を命名すると発表した。
ミラーの名前はかつて対潜任務に特化したノックス級フリゲートの1隻に命名されていたが、今度はフルネームで予定されていた。
この発表の時期に注目して欲しい。トランプ1期の時にこの決定と発表がなされており、トランプが特に反対もしなかったのでバイデン政権を経て今日、2026年においてもドリス・ミラーになると考えられていたが、海軍内部では必ずしもそうではなかったらしい報道がCNNから出た。
CNNが指摘しているがトランプが空母の電磁カタパルトを蒸気カタパルトに戻すように検討を命じた大統領令ではCVN-81からの変更を検討するように求めているが、一度もドリス・ミラーの名前を書いていない。また海軍内部でも書類でもはやドリス・ミラーの名前を出さずCVN-81で押し通しているという。
前の海軍長官のフェラン長官がまだ在任中だった2025年に艦艇命名関係の委員会で空母には大統領や有名な戦いに勝利した海軍提督の名前が相応でとドリス・ミラーの命名について疑義を示していたと言われている(フェラン長官はその後ヘグセス国防長官と衝突して解任されている)。
CNNの記事は海軍がトランプの名前に変えて、その代わりにドリス・ミラーの名前は他の艦種に割り当てて、名誉勲章を与えればいいといったようなアイデアがあるとされる。
ドリス・ミラーの建造計画も例によって遅れ気味だが、正式な命名のタイムリミットまでさほど時間もない。ほどなく結果を知ることになると思うが、現職あの人の名前ではまた命名変更されるのがオチになりそうな予感しかない。
Exclusive: Navy weighs renaming carrier slated to honor Black war hero, potentially switching it to Trump | CNN Politics
https://edition.cnn.com/2026/08/20/politics/navy-weighs-renaming-carrier-black-war-hero-to-trump
余談:アメリカ航空母艦の命名基準
戦後の航空母艦の名前は(括弧書きは代表例)
著名な海戦(ミッドウェイ等)
武勲艦(エンタープライズ)
海軍に貢献した大統領(セオドア・ルーズヴェルト、J.F.K等)、連邦議員(カール・ヴィンソン等)
戦争や海戦に勝利した提督(ニミッツ)
から取られてきた。
大統領に関しては退任後存命中に命名されたケースはあるが現職の例はこれまでなかった。
なお、言うまでもないと思うがニクソンの名前がどのような艦種であれ命名される可能性はまずない。
カーター大統領の名前がないのは、彼が原子力潜水艦マフィアと呼ばれたリッコーヴァー提督の門下生とでも言うべき海軍士官だった事からシーウルフ級攻撃型原子力潜水艦に命名されている事による。
FDR(フランクリン・D・ルーズヴェルト)はミッドウェイ級航空母艦で命名されていたが他の同型艦と異なる部分が運用上足を引っ張り続け比較的早く退役している。FDRとしての名前は以後航空母艦以外でも命名されていないが、ルーズヴェルト夫妻(エレノアも合わせて)としての名前はミサイル駆逐艦の一隻(DDG-80ルーズヴェルト)に命名されている。
朝「えみり既読おそーい」(『違国日記』6巻より)
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