(38)図書館が政治対立の最前線である理由
目次
前提
アメリカでは書店が極めて少なくかつては選書して定期送本するブッククラブという形態があったり独特な読書文化がある。その中で図書館はたいていの自治体が設置していて書店よりはるかにアクセスしやすい存在である。
世界的にも知られるニューヨーク公共図書館は自治体が運営費の一部を負担しているが自治体設立ではなく独立した団体があって運営しているが、全米各地にある図書館の多くは自治体設置か学校設置のいずれかである。
政治運動としての図書館 Book Ban
キリスト教右派など保守派の人たちの中には図書館の資料が子供たちに悪影響を与えることは断じて許さないとして排除資料を作り図書館の開架に置かせなかったり、除籍をするように求めたりする運動に取り組んでいる人たちがいる。
彼らは自分たちの子供が読まなければいいとは考えていない。積極的に他の人のアクセスを妨害することこそ至上命題として取り組んでいる。このような活動は児童の親の会の体裁など取っていて他人の箸の上げ下げをともかくとやかく言いたい、言わせろ、言うことを聞かないなら多数派の陳情圧力で実現するという姿勢で取り組んでおり一部の保守的な州では成功事例を生み出している。
このような取り組みをしている人たちは共和党支持者、MAGAと重なっており図書館は深刻な政治闘争の場として彼らは扱っている。この実現のために教育委員会に相当する組織の公選ポストに立候補して組織を支配するような方法まで使用されており、手続きが合法であれば、その意思を通すための多数派を取って手続きを通せば自分たちの思想を押し付けていいという価値観が露骨に出てくる。かくしてアメリカの図書館は政治闘争の最前線であり地域によっては激戦地と化している。
写真)東洋文庫ミュージアムの展示室を撮ったもの。
朝「えみり既読おそーい」(『違国日記』6巻より)
米国政治キーワード
- 1 (1)有権者たち
- 2 (2)激戦州・部族主義・大統領令
- 3 (3)統合軍・連邦議会・大統領府
- 4 (4)大統領の人事権・国防省
- 5 (5)参考図書
- 6 (6)激変中の人種民族構成比
- 7 (7)選挙人制度と連邦議員定数
- 8 (8)合衆国憲法修正条項
- 9 (9)合衆国憲法第1条第2節第3項 「5分の3」条項
- 10 (10)合衆国憲法修正第1条(いわゆる表現の自由)
- 11 (11) 憲法修正第25条 大統領・副大統領の継承
- 12 (12)予備選挙制度
- 13 (13)徴兵と州兵制度
- 14 (14)白人福音派
- 15 (15)連邦司法省と法執行機関、検事制度について
- 16 (16)党派・人種民族別支持者比と上院人種民族構成
- 17 (17)フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領
- 18 (18)ハリー・S・トルーマン大統領
- 19 (19)合衆国連邦裁判所と移民裁判所
- 20 (20)連邦最高裁会期制と健康保険制度メモ
- 21 (21)“Mahanoy Area School District v. B.L.” 判決
- 22 (22)アメリカ合衆国連邦職員数と「政府効率化省」
- 23 (23)フィクションにおけるアメリカ合衆国の核戦争 映画編
- 24 (24)アメリカの教育・図書館に干渉する宗教右派
- 25 (25)フィクションにおけるアメリカ合衆国の核戦争 テレビドラマシリーズ編
- 26 (26)アメリカ人の夢
- 27 (27)CVN-81を巡って アメリカ海軍航空母艦命名考
- 28 (28)『若きワシントン』とアメリカの歴史映画
- 29 (29)ワイオミング州
- 30 (30)カリフォルニア州
- 31 (31)ニューヨーク市
- 32 (32)ディアボーン市とヒスパニック系大統領はいつ誕生?
- 33 (33)アメリカの州司法行政と検察
- 34 (34)コロンビア特別区
- 35 (35)ヘグセス国防長官の「自律戦闘兵器コマンド」という偵察気球
- 36 (36)Press Secretaryは気楽なお仕事?
- 37 (37)中間選挙と政治資金
- 38 (38)図書館が政治対立の最前線である理由 この記事
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